2009年10月21日
開催報告!9月度特別講演会

●日時
平成21年9月30日(水) 13:00開場 13:30開演
●会場
浜松市中区旭町11-1
プレスタワー17F「静岡新聞ホール」
●講師 金子 勝 氏(慶応義塾大学経済学部教授)
【講演内容概要】
どんな政党でも課題に正面から向き合うことが大事。今後は持続可能な社会にすることが一番の課題。
そのためには小泉構造改革路線の失敗を今の時点で真剣に総括する時だと思う。米国の投資銀行をモデルにした日本の「金融立国」では何も生まれず、何の成長もせず完全に破綻した。年金・医療・介護など社会保障制度を壊し、個人間格差・地域間格差を拡大させてしまったのである。
現在のアメリカの情勢を見ていると1999年の日本にそっくり。信用収縮と景気悪化の悪循環が生じている。日本以上に深刻と思えるのは日本の不良債権は目に見える担保不動産価値の意図的な粉飾だったが、アメリカでは不良債権化した証券化商品があまりに複雑すぎ、かつ売れないために損失評価ができない状態に陥っている。まだまだ景気回復には時間がかかるのではないか。さらに金融危機はヨーロッパにも波及し世界同時不況の様相を呈している。新しい金融規制とルールができないかぎり最終的な問題解決にはならないと思われる。
こうした世界情勢の中、日本の新政権は何をすべきか。従来の形を壊すだけでは景気は悪化する一方。「新しい仕組みづくり」と「景気を維持させる」ことを同時に行う必要がある。
まずは守りを固めること。
金融機関への対応策や中小企業への緊急融資の拡充。労働市場の規制緩和を元に戻し、年金・医療・介護などの社会保障制度を再生させる。
地域切捨てを止めて農業や中小企業を再生させるなど。
同時に環境エネルギーによる産業革命を起こし、農業や福祉医薬を重点に新たな戦略を構築する必要がある。既存産業を強めるインフラ投資はもはや道路ではなく教育や研究開発といえるだろう。
明日のために地道に努力し、技術と利益を創り上げてきた日本。この美徳であるわが国の精神を、今まさに取り戻し、きちんとした戦略を立て直す時期なのだ。

Posted by 21世紀倶楽部 at 12:04
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